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水先案内人のおすすめ

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TVプロデューサーが選んだ注目作

波多野 健

TVプロデューサー、ディレクター

ライトハウス

なかなか出会えない、傑作のひとつ。怖い映画だが、いわゆる“怖がらせる映画”ではない。1801年にイギリスのウェールズで実際に起きた事件をベースに作られていて、離島の灯台を舞台とした、ほとんどふたりしか出てこない“舞台劇”のようでもある。そのふたりとはベテランのウィレム・デフォーと『テネット』で注目を集めたロバート・パティンソン。このパティンソンがなかなかいい。ストーリーは4週間に渡って離島の灯台守を託されたふたりが閉ざされた空間で次第に狂気と幻想に侵されていくというもの。神話や暗喩に満ちていて、すべては理解できなかったが味わい深かった。名優ふたりのバトルは見ごたえがある。特にデフォーの、相手に対する態度が急に変わっていくその演じ分けが見事だった。最後の方のシーンでは監督が狙っているかどうかは別として、まるで『地獄の黙示録』のようだった。サイレント映画からトーキーに移行する時期に隆盛したほとんど正方形という画角で、おまけにモノクローム。最初はとまどったが、アカデミー賞の撮影賞にノミネートされたその映像美は素晴らしい。かなり、お薦めです。

21/6/23(水)

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