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村山 章
映画ライター
プロミシング・ヤング・ウーマン
21/7/16(金)
TOHOシネマズ 日比谷
今年のアカデミー賞脚本賞。そしてジェンダーの問題が大きく語られるようになった現代ならではの、男女の性別格差をテーマにしたリベンジストーリー。なんとも“今の映画”という感じがするが、それ以上にポップなパワーに満ちており、女性をモノとして扱う男どもにお仕置きして回るキャリー・マリガンのダークヒーローっぷりに惹き込まれる。 ただし、あなたの性自認が何であろうと胸のすくような痛快さを与えてくれる映画ではない。マリガン演じる主人公がどれだけ強烈で個性的で現実離れしていても、彼女はスーパーパワーを持っているわけでも強靭な精神を持ち合わせているわけでもない。フェネル監督は、新たな女性ヒーロー誕生!みたいな安易な解釈にはしっかりと冷水を浴びせかけにくるのだ。 出てくるキャラは誰ひとり正しくないが、作品としては100%いい意味で“正しい”と思わせてくれる信頼のおける逸品。
21/7/12(月)