1970年代、小学生の頃、図書館の『少年朝日年鑑』で、水俣病の記事と写真に触れたのは衝撃的な体験だった。人間の体が、こうも不自然に曲がるものなのかと思ったり、それを引き起こした社会の現実を知ったり、とにかく恐ろしかった。　 『MINAMATA』を観て、そんな当時の記憶が掘り起こされたのはもちろん、公害病を告発した人々の知られざる逸話が激しく胸に迫ってきた。権力者が嘘・隠蔽・買収で都合の悪い事実を隠そうとするのは今も昔も変わらない。そんなとき、弱者の側に立ち闘うことができるか？　正しいことをなせるのか？ ジョニー・デップ扮する主人公の、ぶっきらぼうだがヒューマンな個性にふれ、そんなことを考える。観るべき力作！

21/9/20(月)