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ドキュメンタリー評論のエキスパート
村山 匡一郎
映画評論家
芸術家・今井次郎
21/10/30(土)
ユーロスペース
音楽、造形、パフォーマンスなどさまざまなジャンルで表現活動を行い、2012年に60歳で亡くなった今井次郎の芸術人生を描いたドキュメンタリーであるが、今井次郎についてはまったく知らなかった。冒頭で2018年に開かれた今井を追悼する「トリビュートライブ」の紹介から始まり、幼少時代の写真や母親の証言、そして今井がかかわった「時々自動」の主宰者の証言など、時代を追って今井の活動が当時の記録映像と証言で綴られる。その多彩な創作活動には驚くが、2000年代に入って若いアーティストたちが今井を慕う姿は印象的だ。亡くなる前の入院中も病院食をアート的に工夫するなど、全身アーティストといえなくもない。今井次郎は不要不急の「遊び」を生涯貫いた「ダダ精神」の持ち主だったように思う。
21/10/27(水)