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監督、俳優…新しい日本の才能に注目(2018年6月〜2022年12月まで担当)

野村 正昭

映画評論家

ダ・ヴィンチは誰に微笑む

美術史には疎いので、観る前は退屈するかと思いきや、たちまち映画の中に引きこまれ、ゾクゾクさせられた。2017年、レオナルド・ダ・ヴィンチの最後の絵画とされる《サルバトール・ムンディ》=男性版モナ・リザが、オークションに出品され、史上最高額となる510億円で落札されたのが発端。もともとはニューヨークの美術商が、名もない競売会社のカタログに掲載された絵を見て、これがダ・ヴィンチの“消えた絵”ではないかと直感して、13万円で落札したのだ。専門家の鑑定を得て、ダ・ヴィンチの絵としてギャラリーに展示すると、ジャーナリストや研究者、新興財閥、王族まで、欲にまみれた人間たちが群らがってくる。本当に、これはダ・ヴィンチの絵なのか。真贋をめぐって、謎また謎の連続で、劇映画を凌ぐミステリー、ノンフィクションに圧倒され、目を奪われてしまった。

21/11/20(土)

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