一般家庭に埋もれていた1枚の絵がオークションでレオナルド・ダ・ヴィンチの最後の絵画とされる《サルバトール・ムンディ》＝通称“男性版モナ・リザ”として史上最高額となる510億円で落札され、世界中の大ニュースになった騒動を軸に、その真相やアート界のからくりと金銭取引の闇を暴き出していく『ダ・ヴィンチは誰に微笑む』はドキュメンタリーの枠をはるかに超えたミステリー・ノンフィクション映画だ。13万円だった絵がどのように510億円になるのか……癖のある登場人物の1人がつぶやく「美術界は秘密だらけ。不透明で規制がない。いかがわしい闇の王国」という言葉に納得の展開。監督はフランスのドキュメンタリー映画監督でジャーナリストのアントワーヌ・ヴィトキーヌ。センスも腕も一級と言えるが、グザヴィエ・リバーマンという人の撮影も超一級だ。しかしドキュメンタリーの秀作が連続している。

21/11/22(月)