出会い全てが偶然ではなく必然なのか？ フランスの山間の町で起こった女性失踪事件が、アフリカのコートジボワールへと繋がっていく展開を見た時の驚きと興奮。余計な説明は無く、視覚で人それぞれの状況と感情へとスイッチ出来る映像ならではの特技を活かすのに、ミステリーは相性が良い。 物事には理由があり、それが狭いコミュニティならば絡み合うのは必然だろうが、突然、出会うはずのない距離と環境が目の前に飛び込んでくると、人は一気に今までの状況を整理しようとする。そんな制作サイドの仕掛けがお見事で、観客を楽しませる為に映画を作っている気がしてほくそ笑んでしまった。 東京国際映画祭で観客賞と最優秀女優賞をとった理由も納得なのは、映画の矢印がしっかり観客に向かっているから。説明し過ぎず、人それぞれの状況をこっそり見せ、何故、その行動に及んだのかを時間軸ではなく、その人物の視点で描くことでミステリーへと昇華していく。是非、目撃して欲しい人間の行動心理だ。

21/11/29(月)