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映画から自分の心を探る学びを
伊藤 さとり
映画パーソナリティ(評論・心理カウンセラー)
シチリアを征服したクマ王国の物語
22/1/14(金)
新宿武蔵野館
イタリアの作家ディーノ・ブッツァーティによる人気児童文学をアニメーションにした、フランスとイタリアの合作映画。 ビビッドな色合いとグラデーションが特徴のコミカルで魔法的な画は、イラストレーターとしても活躍するロレンツォ・マトッティ監督によるもの。年齢を問わず惹きつけられる魅力を持ち合わせていた。 しかも、クマが人間と友好的な関係を築こうとしても“自分たちと違う姿の異質な生態”という概念で撃ち返す光景は、見方を変えれば人種差別はもちろん、職場や学校でも生まれるカースト的な思考にも見られる社会問題にも。 そんなクマたちが人間たちから何を学んだのか? ともに生活をしたことでどんな分断が起こったのか? 絵本をめくるようにスクリーンから「人間として大切なこととは?」と問いかけてくる比喩を多用したキャラクター設定が斬新であり、「子どもは大人を見て育つ」という親だけではなく、社会が子どもを育成するというメッセージも込められている。 世界のアニメーションは子どもにも見られるアートだから、知育を目指し、未来を担う人々の感性を育てるために作品を製作しているのよ。
21/12/30(木)