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政治からアイドルまで…切り口が独創的
中川 右介
作家、編集者
真夜中乙女戦争
22/1/21(金)
TOHOシネマズ日比谷
原作の小説はやたらとセリフが理屈っぽく、ちょっと引いてしまうのだが、映画は同じ内容のセリフを語っても、すっと入ってくる。それだけ永瀬廉の台詞まわしがうまい。青年というのは理屈ばかり言うものなのだと納得できる。 豊かではなく、何のために生きているのか悩める青年、笑顔を見せないキャラクターを、輝かしいアイドルである永瀬廉がナチュラルに演じている。 柄本佑も正体不明の「黒服の男」を無機質に、池田エライザも大人の女になりかけの「先輩」を虚無的に、それぞれ演じている。全体の色調も抑制的で、モノトーンに近い。 映像と演技に統一感があり、ひとつの世界観を造りきっている。 いかにもいそうな現代の青年の日常が、ありえそうもない世界へと変化していく過程に違和感がない。ありえそうもない結末に説得力がある。 いまどき、大学のキャンパスに灰皿があるだろうかというツッコミどころはあるけれど。
22/1/19(水)