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平辻 哲也
映画ジャーナリスト
再会の奈良
22/2/4(金)
シネスイッチ銀座
日中国交正常化50周年の節目の年に、ようやく公開。中国の新鋭監督が、中国残留邦人をテーマに日中の人々の交流を描く。 帰国後、数年間連絡が途絶えた残留邦人の養女・麗華を探す年老いた養母が中国から奈良県を訪れ、孫代わりのシャオザーと、偶然知り合った元警察官の一雄(國村隼)が加わる……。 河瀨直美監督が手掛ける「なら国際映画祭」発の映画プロジェクト。雲南省の少数民族を描いた『ライスフラワーの香り』で2018年の同映画祭観客賞を受賞したポンフェイ監督が19年秋、奈良県御所市で撮影。河瀨氏、中国を代表する世界的な監督ジャ・ジャンクーがエグゼクティブ・プロデューサーを務めた。 中国残留邦人問題はセンシティブな問題だが、入り口は軽やかな語り口で魅了し、やがて重い現実を見せていく。養女をなんとしても探そうとする、中国のおばあちゃん役のウー・イエンシューがチャーミング。エンディングに流れる、アジアの歌姫テレサ・テンの『グッド・バイ・マイ・ラブ』がその心情に重なり、染み入る。
22/2/2(水)