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渡辺 祥子
映画評論家
ウエスト・サイド・ストーリー
22/2/11(金)
TOHOシネマズ 日比谷
スティーブン・スピルバーグが原作への愛着をこめながら見事に彼自身の『ウエスト・サイド・ストーリー』を作り上げた。1950年代終わりのNYを舞台に、白人移民「ジェッツ」とプエルトリコ移民「シャークス」の2つのグループの抗争を基に、『ロミオとジュリエット』の悲劇を重ねたところは原作舞台がそのままだが、スピルバーグの興味はプエルトリカンにみなぎるパワーにある。そのパワーで押しまくる圧巻のダンス。そして生きることにタフな女たちは、敵対する側の女性をレイプする愚かな男たちを止めるだけの理性を持っている。あらためてこれが21世紀の『ウエスト・サイド』と思うが人種差別、対立のない場所はいまなお見つかっていないのかも。
22/2/4(金)