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水先案内人のおすすめ

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注目の洋画系配信作品をプッシュ

村山 章

映画ライター

家をめぐる3つの物語

『家をめぐる3つの物語』 Netflixにて配信中 なんともとらえどころのない奇妙なオムニバス映画だが、最初は突出したビジュアルに魅せられ、観終わってみれば謎だらけの中編3本の正体を知りたくなって、いつまでも考え込んでしまう。ハマる人にはとことんハマるストップモーションアニメだ。 中心となるのはひとつの“家”。1本目では、中世か近世と思しき過去のイギリスで、身を持ち崩した家族の前に、新築の屋敷を贈ってくれる建築家が現れる。2本目は現代が舞台で、屋敷を買い取った男がモダンなリノベーションを施して高額で売ろうと奮闘する。3本目は近未来なのか、洪水によって周囲は水に沈み、アパートとなった家がポツンと残っている。 ジャンルでカテゴライズするなら不条理ホラーだろうか。家に関わったことで、主人公それぞれに不幸が訪れ、不吉な予感が忍び寄る。なぜ彼らがこんな酷い目に遭わないといけないのか。理由はさっぱり説明されないが、どのエピソードにも有無を言わせぬ力がある。 エピソードごとに監督は異なり、ビジュアルのスタイルも変わる。いや、それどころか登場人物の種族も変わる。1本目はフェルト製の人形を使った人間の家族、2本目はスマホを使うネズミ、そして最後は直立歩行のネコたち。その変化に意味があるのかも知れないし、単純に監督それぞれが得意とする造形というだけなのかも知れない。でも、3つのエピソードは“執着”というテーマで結ばれており、あともう少しで作品の本質に手が届きそうな寸止め感がたまらない。厄介だが魅惑的な、大人のための寓話集である。

22/2/4(金)

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