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監督、俳優…新しい日本の才能に注目(2018年6月〜2022年12月まで担当)

野村 正昭

映画評論家

拝啓、永田町

昨年公開された『香川1区』や、今年初頭に公開の好編『決戦は日曜日』など、選挙を題材にした映画が、ドキュメンタリーや劇映画を問わず作られている。この『拝啓、永田町』も、国政選挙→政治をめぐる劇映画だが、土田ひろかず監督の異色の経歴が映画に色濃く影響しているにちがいない。何しろ、土田監督は現役医師であると同時に、元参議院議員! 主人公である医師の峰山は、想田和弘監督のドキュメンタリー『選挙』を見て発奮し、出馬を決意するが、彼は決して聖人君子ではない。熱意はあれど、選挙まで残り2週間を切って、立つことになったため、周囲は振り回されるばかり。惜敗するも、与党になったばかりの政和党の目にとまり、補選に担ぎ出される。その過程で見えてくる官僚の傲慢さ、そして警察の卑劣な手口。〔官僚が書いた脚本に、政治家という大根役者が踊る〕というポイントを外していないコメディで、政治に向ける眼差しは真摯かつ鋭い。

22/2/7(月)

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