アメリカのアンダーグラウンドコミックを代表する漫画家、イラストレーターであるロバート・クラムの正気と狂気を行き来する半生をとらえたドキュメンタリー『クラム』が約25年ぶりに公開される。カウンターカルチャーを象徴するキャラクター「フリッツ・ザ・キャット」を生み出し、ジャニス・ジョプリンとビッグ・ブラザー＆ザ・ホールディング・カンパニーの『チープ・スリル』のジャケットを手がけるなど、60年代後半のアメリカで脚光を浴びる存在だったクラムのブルースへの偏愛、ともに精神を病んでいる兄と弟からの影響、LSDの使用、女性に対する過度な恐怖心と特異な性的嗜好……。 そのコミックに劣らず異例づくめの人物像とアメリカのダークサイドが映し出されるおもしろさにひきこまれる。 “コンプライアンス”という言葉とは無縁な世界が広がっている。

22/2/16(水)