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イヤな映画、主人公の悲劇がお好み
真魚 八重子
映画評論家
MEMORIA メモリア
22/3/4(金)
ヒューマントラストシネマ有楽町
アピチャッポン・ウィーラセタクン監督の最新作は、これまでタイの地方で撮影を行ってきた手法から離れ、南米コロンビアを舞台にしている。とはいえ、鬱蒼とした熱帯の雰囲気は変わらず、川のせせらぎや虫の音が環境音として大部分を占めているのはいつも以上だ。主人公のジェシカを演じるのはティルダ・スウィントン。ある日、彼女は自分にしか聞こえない爆発音を聞いた。そのことに心を囚われながら、彼女は新しい人々と出会い言葉を交わしていく。非常に淡々とした静かな映画で、これまでのようなウィーラセタクンらしいユーモアはない。だが、謎としか言いようのない不可解な出来事や物がチリのように積もっていき、どこか冥界とつながっているような空気が漂う。
22/2/25(金)