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パリ発、ヨーロッパで話題の作品を
佐藤 久理子
パリ在住、文化ジャーナリスト
ライフ・ウィズ・ミュージック
22/2/25(金)
TOHOシネマズ 日比谷
世界的シンガー、Siaの初監督作ということで、全編PV風映像だったら辛いかも、という不安はいい意味で裏切られた。物語として見応えがある、と同時に映画の概念に捕らわれない、自由な発想と遊び心で斬新な作品に仕立てている。キャラクターの心情を具現化したダンスシーンへの滑らかな移行も魅力的だ。 この突き抜け感は、スパイク・ジョーンズやミシェル・ゴンドリーのデビュー当時を彷彿させる、と思ったら、エンドクレジットの謝意にスパイクの名前があった。 アルコール依存症のリハビリ中であるヒロインが、祖母急死の知らせを受け、疎遠だった自閉症の妹の面倒を見ることになる。Siaが自身を投影したヒロインを演じるケイト・ハドソンの弾けっぷりとともに、神業的演技を見せる妹役のダンサー、マディ・ジーグラーにも目を見張る。Siaが全曲書き下ろしたパワフルなサントラと相まって、“上がる”映画としておすすめです。
22/2/24(木)