Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

水先案内人のおすすめ

評論家や専門家等、エンタメの目利き&ツウが
いまみるべき1本を毎日お届け!

人気ブロガーが話題の展覧会を深掘り

Tak

美術ブロガー

カラーフィールド 色の海を泳ぐ

村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』の表紙に使われている絵画作品をご存知でしょうか。複数の色が互いにゆるやかに干渉しながら全体として美しい縦のラインを成している魅力的な作品です。描いたのは、戦後アメリカの抽象表現主義の作家、モーリス・ルイス(1912- 1962)。モーリス・ルイスをはじめフリーデル・ズーバスなど1950年代末から60年代にかけて、大きなカンヴァスに色彩を広げて「場」(=フィールド)をつくる抽象絵画の潮流がアメリカを中心に発展しました。彼らを総称し「カラーフィールド」と呼びます。カラーフィールドの作家をまとまった形で紹介する日本ではじめての展覧会がDIC川村記念美術館で開催されます。 9名の出展作家(ジャック・ブッシュ、アンソニー・カロ、フリーデル・ズーバス、ヘレン・フランケンサーラー、モーリス・ルイス、ケネス・ノーランド、ジュールズ・オリツキー、ラリー・プーンズ、フランク・ステラ)は色彩と絵画の関係を各々の方法で模索し、それぞれ独自の作品表現を展開しました。変形的な外形を持つシェイプト・カンヴァスの使用や、スプレーガンの噴霧で色を蒸着させる画法などその表現方法も実に多彩です。村上春樹の表紙を飾ったモーリス・ルイスは、絵具をカンヴァスに染み込ませるステイニング技法を考案し独特な世界観を作り上げています。 今回の展覧会では世界で最も質の良いカラーフィールド作品を所蔵しているカナダの「マーヴィッシュ・コレクション」より、約40点の作品が初来日し川村記念美術館所蔵作品と合わせ約50点が公開となります。作品数として少ないように感じるかもしれませんが1点1点のサイズが大きく(横5mを超える大型絵画も!)見ごたえは十分です。サブタイトルにあるように、色彩の海の中をしなやかに泳ぐような絵画鑑賞を佐倉の川村記念美術館で体験しましょう。

22/3/4(金)

アプリで読む