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TVプロデューサーが選んだ注目作
波多野 健
TVプロデューサー、ディレクター
カモン カモン
22/4/22(金)
TOHOシネマズ 日比谷
傑作です。ホアキン・フェニックスにはいつも驚かされるが、今回はしごく真っ当な役を演じている。彼はアメリカ各地を回り、子供たちにインタビューをしているラジオ・ジャーナリストで、あることからジェシーという妹の子どもを預かることになるのだが、映画はほとんどがホアキンとジェシーのふたりの会話で進行する(ような印象を受ける)。ものすごく面倒な子どもでホアキンはとまどうが、それでも実に真摯にジェシーと向き合う姿が、僕が今まで抱いていた彼の印象と遠くて「こういう役もできるのか」とちょっと驚いた。マイク・ミルズ監督は『20センチュリー・ウーマン』など“深い”映画が多いが、この映画も哲学的で、いろいろなことを考えさせられる。特に「コミュニケーションとは何か?」を。子ども役のウディー・ノーマンが可愛いのにものすごくうまい。本当にアメリカの子役には毎回感心させられる。ホアキンの妹役がきれいな女性でいい感じだったのだが、何と『フィールド・オブ・ドリームス』のケヴィン・コスナーの娘役のあの女の子だったとは!映画はデトロイトから始まって、LA、オークランド、NY、ニューオーリンズなどアメリカの各都市をめぐるが、『あなたを抱きしめる日まで』や『わたしは、ダニエル・ブレイク』の撮影監督ロビー・ライアンのモノクロームの映像が美しい。ものすごく、お薦めです。
22/3/11(金)