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日本映画の新たな才能にフォーカス
イソガイマサト
フリーライター
中村屋酒店の兄弟
22/3/18(金)
シネクイント
若手俳優の白磯大知が自らのオリジナル脚本を映画化し、第13回田辺・弁慶映画祭のTBSラジオ賞や第30回東京学生映画祭のグランプリなどを受賞した注目の監督デビュー作。実家の酒屋を継ぎ、認知症の母親の介護をしながら暮らしている兄と、数年ぶりにそこに戻ってきた弟のぎこちない関係と兄弟ならではの微妙な距離感をセリフに頼らない芝居とその場の空気が分かる鮮烈な映像で描いた濃密な45分だ。 セリフに頼らず、弟に扮した藤原季節(『くれなずめ』)、兄役の長尾卓磨(『ミセス・ノイズィ』)の表情の変化とささやかな仕草だけで見せきる白磯監督の確かな手腕と映像センスに魅せられる。中編なのに凡庸な長編より情報量が多く、観客の想像する力を信じた映画らしい映画のテイストになっているのも嬉しい。新たな才能の登場に拍手!
22/3/10(木)