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日本で上映されるアジア映画はおまかせ
紀平 重成
コラムニスト(元毎日新聞記者)
チェルノブイリ1986
22/5/6(金)
新宿ピカデリー
タイトルにあるように1986年にウクライナ(当時はソ連)のチェルノブイリ原子力発電所で起きた爆発事故をアレクセイという一人の消防士の目線で描いたフィクションです。それがどんなに危険な作業だったかは時間の経過とともに明らかになっていきますが、彼が聞かされたのは事故炉が水蒸気による二次爆発を起こす可能性が高く、そうなればヨーロッパ全土に放射性物質がまき散らされるということ。それを防ぐには熱湯となったプールの中を防具服を着たまま歩いて排水弁のある場所まで行き手動で弁を開ける難作業だということも伝えられます。一度は断るアレクセイですが思いもよらない事情を抱え込み3人の決死隊に志願してしまいます。 映画は実在の人物ではなく事故に関わった多くの人々からインスパイアされて作られたといいます。また一方で製作の狙いは事故原因を明らかにするというよりも事故から30年以上たち事故の記憶がどんどん忘れ去られているのではないかとの恐れです。つい最近もロシア軍のウクライナ侵攻でロシア側が原発を制圧するという重大事案を目の当たりにした我々は原発の危険性を伝えることについていとも簡単に風化が進んでいることに驚きを禁じえません。事故の悲惨さや安全性を確保するために不断の努力が必要であることを映画から改めて教えられます。
22/3/31(木)