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映画から自分の心を探る学びを
伊藤 さとり
映画パーソナリティ(評論・心理カウンセラー)
カモン カモン
22/4/22(金)
TOHOシネマズ 日比谷
CMやMVを手掛けてきたマイク・ミルズ監督のセンスが本作で更に際立っている。あえてモノクロで描く子育ての世界も、子どものまっさらな思いを映すインタビューシーンの導入に対する敬意からではと推察。そして甥の面倒を見ることになったラジオジャーナリストを演じるホアキン・フェニックスの9歳の甥との適度な距離感での会話も生々しいし、子役のウディ・ノーマンがとにかく自然体なのだ。 本来の子どもは、よくある物語に描かれるような物分かりの良い子ではなく、自由で奇想天外で驚くような想像力を秘めた子も多い。そこに着目し、子どもから見た大人の世界や、大人たちが子どもに寄り添うことの必要性を伸びやかな会話の中で紡いでいく。 実は子どものことを理解しているつもりでも理解しきれないのが大人であり、大人が変えていかなければ、自由な感性を持つ人々が生き易い世界にはならない。「他人を蹴落とさない人になれ」というメッセージは、子どものお手本となる私たち大人への忠告にも読み取れた。
22/4/16(土)