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政治からアイドルまで…切り口が独創的

中川 右介

作家、編集者

オードリー・ヘプバーン

アーカイブ映像をふんだんに使ったドキュメンタリー映画。 本人のインタビュー映像や、出演映画のメイキング映像、息子をはじめとする親しい人たちへのインタビューなどで、大スターの生涯が描かれる。 幼い頃に両親が離婚したこと、少女時代に戦争を経験したことが、生き方に影響を与えているという視点で、大スター時代の映画そのものへの言及はそう多くない。それでも、ジバンシーとの関係は、ファッション革命として位置づけて語られるので、オードリー・スタイルに興味のある人には、楽しめる。 かなり時間を割いているのが、映画から離れた後、晩年のユニセフ親善大使の活動だ。自身の戦争体験と、戦後にユニセフが食料を持ってきてくれたことへの感謝が、その活動の原点にあると解説される。 戦闘地域や飢餓地域へ子供をはげましに行くシーンは、圧倒される。不謹慎かもしれないが、美しく、かっこいいのだ。 「私には名声があるから、それを利用する」と堂々と言って活動する。アメリカ議会で一時間演説して、何億ドルもの予算を勝ち取ったり、テレビで寄付を訴えただけで何億ドルも集まったりする。ハリウッドスターはボランティアもスケールが大きい。この晩年の活動だけでも、一本の映画になるだけの物語があると感じた。 時節柄、いま、オードリーが生きていたら、ウクライナの問題に対しどう発言するかと、思わざるをえない。 それにしても、プライベートシーンでのスナップ写真でも、完璧に絵になっているのがすごい。

22/4/7(木)

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