Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

水先案内人のおすすめ

評論家や専門家等、エンタメの目利き&ツウが
いまみるべき1本を毎日お届け!

日本で上映されるアジア映画はおまかせ

紀平 重成

コラムニスト(元毎日新聞記者)

オードリー・ヘプバーン

筆者の学生時代に人気のあった女優といえばエリザベス・テーラーやソフィア・ローレン、オードリー・ヘプバーンの3人はまず外せないでしょう。とりわけ『ローマの休日』に出演したヘプバーンはさる国の王女様という役柄だったので容姿に加え気品まで兼ね備えており、本当の美人とはまさにヘプバーンの様な女性だろうという刷り込みが私の頭の中で行われたのです。 本作はそのヘプバーンが『ローマの休日』でアカデミー主演女優賞を受賞してスターへの道を駆け上がった後の、表向きの華やかさとは逆に実生活では慎ましやかであろうと心掛けていた姿を描くドキュメンタリー。中でも後年ユニセフ国際親善大使として世界中を飛びまわり、恐怖や憎しみより愛の大切さを伝えるために立ち上がった姿をも丁寧に紹介していきます。 餓えてゴミ箱の中をあさる子供たち、貧困、戦禍、廃墟、専制国家の横暴。作品の背景として流されるニュース映像はまるで今の世界を描いているように生々しく、少女時代に第二次世界大戦を経験した彼女の強い危機感をその映像から感じないわけにはいきません。愛に飢える家庭環境で育ち、逆に自らはあふれるかのように戦禍で苦しむ人々を愛で包み込もうとした彼女の精神こそが今求められています。

22/4/12(火)

アプリで読む