イングマール・ベルイマン監督が作品を撮影し、晩年を過ごしたフォーレ島に滞在する映画監督のカップルを描いたミア・ハンセン・ラブの新作。ともに映画監督であるクリスとトニーは、年齢が二回りほど離れていることからも、ミア自身と公私にわたるパートナーだったオリヴィエ・アサイヤスとの関係をベースにしていると思われる。 ミアの経験に重ねざるを得ない、ともにアーティストである二人の緊張感、同じくフォーレ島を舞台にクリスが紡ぐ劇中劇のラブストーリー、ベルイマンの自宅で突如カメラは虚実皮膜を彷徨い始め……。幾重にも重なるグラデーションを風光明媚なフォーレ島の風景とともに楽しめる眩暈のするような作品。ベルイマンファンでなくても大丈夫です。

22/4/13(水)