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映画のうんちく、バックボーンにも着目

植草 信和

フリー編集者(元キネマ旬報編集長)

オードリー・ヘプバーン

映画ファンが集まる酒席での定番話題は、「映画史上最高の作品は? 監督は? 俳優は?」。「女優」部門のそれは老若男女で異なるが、ほぼオードリー・ヘプバーンで落着することが多い。キネマ旬報社刊「世界映画オールタイム・ベストテン」の「女優篇」での1位はヘプバーン、米ウェブサイト「Ranker」の「ハリウッド史上最も美しい女優ランキング/The Most Beautiful Actresses Ever」1万人アンケートでも、1位はヘプバーン (2位はグレース・ケリー、3位はブリジッド・バルドー) だった。 そんなことからでも、ヘプバーンが世代を超えて愛され続けていることが分かる。本作はその彼女の知られざる素顔に迫ったドキュメンタリー映画。初主演作『ローマの休日』でアカデミー主演女優賞を受賞したことから始まる輝かしいサクセスよりも、幼少期に父親に棄てられ、ナチス占領下のオランダという過酷な環境で育った彼女の生涯のトラウマに主眼がおかれている。 二度の離婚、出産、育児を通して、多くの悲しみと喪失感を抱えながら生きた彼女の軌跡が、リチャード・ドレイファスやピーター・ボグダノビッチ監督ら映画関係者、息子や孫、友人ら近親者のインタビューを交えながら、浮き彫りされていく。 監督のヘレナ・コーンは、「彼女は人生における大きな悲劇やトラウマを抱えていましたが、常にそれをより良いものへ、より美しいものへと変えて生きました」と語る。晩年のユニセフ親善大使などの慈善活動、プライベートなアーカイブ映像を交えて、名声の裏側に隠されたヘプバーンの真の姿に迫る貴重なドキュメンタリー映画だ。

22/4/17(日)

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