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アニメも含め時代を象徴する映画を紹介

堀 晃和

ライター(元産経新聞)、編集者

カモン カモン

マイク・ミルズ監督は、ヴィム・ヴェンダース監督の『都会のアリス』(1974年)に刺激を受けたのだという。『カモン カモン』は、ニューヨークを拠点に活躍するラジオジャーナリストのジョニーが、ロサンゼルスで暮らす妹が留守の間、9歳の甥ジェシーを預かることになった物語。人物などの設定も印象が重なる部分があるし、カラー映像でない点は同じだ。 ミルズ監督は「白黒にすることで、日常風景から切り離されて、これは”物語”なんだ、ということをまず提示できると思った」と答えている。その狙いは成功している。モノクロによるやわらかなグレーのトーンが、人物や風景をふわっとした空気感を伴って描き出す。シリアスな感情も精緻に捉えながら、映像はどこかファンタジックで優しさに満ちている。心の温もりが伝わってきた。 最大の見所はジョニー役のホアキン・フェニックスの演技だろう。『ジョーカー』で狂気を演じ、アカデミー主演男優賞に輝いた名優が本作では一転、信頼感を繊細に表現してみせた。ユニークな感性でジョニーを戸惑わせるジェシーと、どのように心を通わせていくのか。コロナ禍だからこそ余計に人との“距離感”が気になった。観ると、心が軽くなる。

22/4/18(月)

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