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水先案内人のおすすめ

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映画から自分の心を探る学びを

伊藤 さとり

映画パーソナリティ(評論・心理カウンセラー)

オードリー・ヘプバーン

『ローマの休日』での鮮烈な王女デビューから映画界、ファッション界のアイコンとして世界中から愛され続けるオードリー・ヘプバーンの裏側に迫るドキュメンタリーは、今の時代、世に出るべくして出た作品だった。 彼女が晩年ユニセフ親善大使として活動していたことは有名だが、その根底には幼少期に離別した父親との関係が複雑に絡み合っていたことや、結婚生活においても満たされなかった愛情が影響を及ぼしていたのだと気づかされる。 自分の名声に溺れることなく、常に地に足がついているか確認するような行動、映画製作サイドの人形にならず、意見を述べていたことが過去の映像から読み取れる。 その生き様は承認欲求に囚われた現代の人々と逆行するように、自分の内面に耳を傾けながら社会を見つめ、アイコンとなってしまった自分ならではの方法で、人生のやり残しを社会貢献に転換させた人道的な生き方だった。 だからこそ『ティファニーで朝食を』でオードリーが歌う「ムーンリバー」が耳に残り、本作のエンディングではまた違った意味合いを感じて仕方がなかった。彼女の生き様に影響を受けた個人としては、子育ても慈善活動も「良いことだ」と励まされているようだった。

22/4/28(木)

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