アメリカの演劇・映像業界において、映画監督、演出家として第一線で活躍、演出を務めたブロードウェイ・ミュージカル『ライオン・キング』では女性で初めてトニー賞最優秀ミュージカル演出賞を受賞したジュリー・テイモアは、大好きな映画監督の1人だ。20年前に公開されたサルマ・ハエック主演の『フリーダ』は“好きな映画10本”には絶対に入るし、その5年後に公開された『アクロス・ザ・ユニバース』はビートルズの曲だけで構成された素晴らしく完成度の高いミュージカル映画だった。そのテイモアが最新作『グロリアス　世界を動かした女たち』の題材にしたのは女性解放運動のパイオニアとして活躍したグロリア・スタイネムと活動家の仲間たちとの物語。若き日のグロリアを『リリーのすべて』でアカデミー賞助演女優賞に輝いたアリシア・ヴィキャンデルに、40代以降のグロリアを『アリスのままで』でアカデミー賞の主演女優賞を受賞したジュリアン・ムーアに演じさせ時間と空間を自由に移動する得意の演出で147分の映画に仕立てたその才能には改めて脱帽だ。アニメなどもうまく取り入れた映像感覚の凄さも一見に値する。

22/5/3(火)