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監督、俳優…新しい日本の才能に注目(2018年6月〜2022年12月まで担当)
野村 正昭
映画評論家
ハケンアニメ!
22/5/20(金)
TOHOシネマズ六本木ヒルズ
『君の名は』(16) のCGクリエーターや、長編デビュー作『水曜日は消えた』(20) よりも、吉野耕平監督は、NDJCの中編作品『エンドローラーズ』(14 / 現在Netflixにて配信中) の鮮烈な印象で、注目すべき存在として、こちらの脳裏に刻みこまれたのだが、この新作は、その期待に見事に応えてくれた快作だ。直木賞&本屋大賞受賞作家・辻村深月の小説を原作にアニメ業界で働く仕事人たちの"想い"が、ストレートに伝わってくる。苛酷な製作現場で、何とか自らの夢を貫き通そうとする新人監督・瞳(吉岡里帆)、そして伝説的な存在だが、ヒット作を出せず、もう後がない崖っぷちの監督・王子(中村倫也)、ふたりの対立を軸に、緻密に取材したアニメ業界の実写パートとアニメパートが交叉し、もの創りの喜びと苦しみが、手に汗握る熱血ドラマとして成立している。
22/5/15(日)