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水先案内人のおすすめ

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歌舞伎、文楽…伝統芸能はカッコいい!

五十川 晶子

フリー編集者、ライター

【一部公演中止】令和4年度 松竹歌舞伎舞踊公演

この夏の歌舞伎巡業の演目は、「御挨拶」のあとに舞踊二題『操り三番叟』と『連獅子』だ。『連獅子』は親子の獅子の情愛を描いた勇壮な踊りでよく知られているが、『操り三番叟』も楽しくてわかりやすく、おめでたさもたっぷりの舞踊だ。 三番叟=糸操りの人形が踊って見えるように演じるのが俳優のしどころで、人形を操る後見役との息の合った振り事が見事で素晴らしい。後見(これは本来の意味の後見ではなく、人形を操る役どころのこと)が人形の箱から糸操りの三番叟を連れて出す。操り糸、といっても本当に三番叟につながれているのではなく、いわばエアの操り糸だが、このエア糸で後見は三番叟を操るという設定。後見が手の糸をひっぱると三番叟の手が動き、頭の糸をひっぱると頭が動く。まるで本当に後見が三番叟の人形で操っているかのよう。三番叟は頭は動かしても目線は動かさず、人の体の関節とはまた違うあえてぎこちない動き。踊りも跳躍もあまりにも軽快で、本当にマリオネットのようだ。 ところが途中糸が乱れると三番叟はくるくる動きも乱れてしまう。後見が糸を扇子で整え、切れた糸をつなぎ合わせるしぐさは、まるで本物の糸を見ているかのよう。そしてまた三番叟は舞い始める。「千秋万歳万々歳」と無事踊り終えてめでたしめでたしという明るくわかりやすい一幕だ。 歌舞伎では五穀豊穣を祈る三番叟ものの踊りが多く作られたが、この舞踊は嘉永6(1853)年江戸河原崎座で、江戸への初下りとしてやってきた嵐璃カク(王ヘンに王)が自分の当たり役を江戸で踊ったそうだ。 顔ぶれは、中村橋之助と中村福之助が三番叟と後見をAプロBプロでそれぞれ役替わりで踊る。他に「御挨拶」を中村芝翫、『連獅子』を芝翫の親獅子、中村歌之助の子獅子、宗論の僧蓮念を福之助と橋之助でAプロBプロで役替わり、僧遍念に中村松江。

22/5/23(月)

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