Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

水先案内人のおすすめ

評論家や専門家等、エンタメの目利き&ツウが
いまみるべき1本を毎日お届け!

時代と向き合う映画を鋭い視点で紹介

佐々木 俊尚

フリージャーナリスト、作家

ビリーバーズ

山本直樹の伝説的な2000年の漫画を原作に、人気が急上昇中の俳優磯村勇斗が演じている注目作品。2巻で構成されている原作はかなり性的なシーンが多いのだが、ほぼ忠実にストーリーも原作をなぞっている。言い換えれば、ここまであの原作を再現できているのが、「恐るべき」と言わざるをえない。 山本直樹には連合赤軍を題材にした有名な『レッド』という作品があり、『ビリーバーズ』も70年代の連合赤軍事件と1995年のオウム真理教事件からモチーフを得ている。最初は崇高な目的を持った集団が、だんだんと俗っぽくなりやがては本能に任せるままの無政府状態へと陥っていくさまが描かれていて衝撃的だった。 映画化された本作も、まさにそのプロセスが生々しい演技で積み重ねられていく。登場人物はほぼ3人しかいない。「オペレーター」役の磯村勇斗だけでなく、「議長」役の宇野祥平や「副議長」役の北村優衣の演技も圧巻で、異様な緊迫感を持ったままカタルシスのあるエンディングへと持っていく演出も素晴らしかった。 観る人を選ぶ作品だが、個人的には非常にオススメ。

22/6/1(水)

アプリで読む