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映画のうんちく、バックボーンにも着目

植草 信和

フリー編集者(元キネマ旬報編集長)

《コペンハーゲン: 権力と栄光》

デンマーク初の女性首相の栄光と挫折を描いた『コペンハーゲン』は、英国テレビアカデミー最優秀国際ドラマ賞、欧州最優秀テレビドラマシリーズ賞、デンマークテレビフェスティバル作品賞など数えきれないほどの賞に輝いたデンマーク発のポリティカルドラマ。デンマーク版『ザ・ホワイトハウス』とも呼ばれる本作、日本ではシーズン1~3(全30話)がスーパー!ドラマTVで2013年から2016年まで配信。その完結篇であるシーズン4『コペンハーゲン: 権力と栄光』 (全8話)がNetflixにて配信が始まった。 シーズン1ではヒロインのビアギッテ・ニュボーが野党党首からデンマーク初の女性首相となるまでを、シーズン2では2年半後に総選挙で大敗するまでを、シーズン3では野に下ったビアギッテが再び新党を結成して政界に復帰するまでを、政界の野望と思惑、駆け引きをまじえてスリリングに描かれた。本国デンマークでシリーズ1が始まったのは2010年だが、翌11年にデンマーク初の女性首相(ヘレ・トーニング・シュミット)が誕生したことから、本ドラマの先見性とリアリズムが世界を驚かせた。シリーズは全世界70ヵ国以上で放送されている大人気ドラマとなり、デンマークを代表する政治ドラマとなる。 そして完結篇であるシーズン4では、ビアギッテが外務大臣として登場。デンマーク自治領グリーンランドで発見された油田を巡り、ロシア、中国、アメリカが激しく対立いるという物語を紡いでいく。現在のデンマークが舞台だから当然のことながら、ロシアのウクライナ侵攻、中国の覇権主義の台頭、温暖化問題、コロナ禍など、現在世界が抱えている問題の数々がビビッドに描かれる。 国連の2022年版「世界幸福度ランキング」で2位のデンマーク(2013、14、16年は1位)だが、権力の座をめぐる確執は他国と同様に壮絶だ。しかし、『コペンハーゲン』は女性の社会進出が進んでいるデンマークだからこそ作ることができた女性政治家のドラマ、製作を担当したあの『THE KILLING/キリング』のスタッフに敬意を表したい。 Netflixシリーズ『コペンハーゲン: 権力と栄光』独占配信中

22/6/11(土)

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