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アニメも含め時代を象徴する映画を紹介
堀 晃和
ライター(元産経新聞)、編集者
ベイビー・ブローカー
22/6/24(金)
TOHOシネマズ 日比谷
観たい欲求に加え、映画史における重要性から観なければならない監督の作品がある。是枝裕和監督もその一人だ。韓国で現地の俳優やスタッフとともに初めて撮影した新作も、やはりそうだった。 テーマは赤ちゃんポスト。韓国では2009年、日本では07年から設置され、その取り組みは大きな話題となった。 クリーニング店を営むサンヒョンには別の稼業があった。児童養護施設出身のドンスとともに、赤ちゃんポストに預けられた乳児を子供が欲しい夫婦に売り渡すブローカーだ。雨の夜、乳児をいつものようにこっそり連れ去ったのだが、後日その母親と一緒に養父母探しの旅に出ることになり……。 カンヌ国際映画祭で、サンヒョン役のソン・ガンホが韓国人初の男優賞に輝いたのは周知の通り。作品はエキュメニカル審査員賞も受賞した。 ソン・ガンホに加え、ドンス役のカン・ドンウォン、刑事役のぺ・ドゥナ、母親役のイ・ジウンら人気スターたちが繊細な演技で台詞にない複雑な心情を浮かび上がらせる。雨や夜、街並みを捉えた映像も魅力的だ。特に冒頭のシーン。その描写にはどこか既視感があった。資料を見て得心した。撮影はホン・ギョンピョ。『パラサイト 半地下の家族』の撮影監督だ。
22/6/16(木)