Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

水先案内人のおすすめ

評論家や専門家等、エンタメの目利き&ツウが
いまみるべき1本を毎日お届け!

ジャンル横断、センスのいいセレクト

立川 直樹

プロデューサー、ディレクター

母へ捧げる僕たちのアリア

音楽がうまく使われている映画というのは観るものの気持ちをいい感じで引き寄せてくれる。南フランスの海沿いにある町の公営団地で、兄3人と重篤で昏睡状態の母を自宅介護しながら暮らす14歳のヌールが教育矯正の一環で校内清掃をしているときに歌の夏期レッスンをしていた講師サラに呼びとめられ、歌うことに魅せられていく過程を描いた『母へ捧げる僕たちのアリア』は、その見本のような映画だろう。ヌールの日課が眠り続けている母に大好きだったオペラ『人知れぬ涙』を聴かせること。サラに呼びとめられて数フレーズ歌う羽目になるのがその『人知れぬ涙』。その後はパヴァロッティの『誰も寝てはならぬ』やマリア・カラスの『カルメン』などの名曲やがドラマを彩っていく。脚本・監督のヨアン・マンカがサラ役のジュディット・シュムラがオペラ『椿姫』を歌うのに魅了されたことがきっかけで、音楽芸術の虜になったというのも出来過ぎたエピソード。感動の秀作だ。

22/6/23(木)

アプリで読む