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政治からアイドルまで…切り口が独創的

中川 右介

作家、編集者

エルヴィス

エルヴィスの熱心なファンではないが、堪能した。 トム・ハンクスが素晴らしい。プレスリーの悪徳マネージャー、パーカー大佐の役なのだが、こっちが主役と言ってもいい。特殊メークで老いたパーカー大佐が回想していく形で物語は進み、パーカー大佐がエルヴィスを殺したのか? という謎解きのミステリ映画でもある。 なんとなく、『アマデウス』を思い出す。あの映画もモーツァルトの映画でありながら、サリエーリの映画であり、サリエーリがモーツァルトを殺したという伝説は本当なのかという謎解きだった。この映画もエルヴィスの映画であり、パーカー大佐の映画なのだ。 凝りようが半端ではない。エルヴィスに詳しい人が観ても、感心するのではないか。コンサート、TVショーの再現度が、ものすごい。 エルヴィスを演じるのは、オースティン・バトラーという俳優。日本では無名に近いだろう。そのため、違和感なく、エルヴィスに見える。彼に限らず、登場人物のほとんどが、30年近い歳月を演じる。その特殊メークの技術にも驚く。 しかし、そういうテクニカルな面でもすごいのだが、アメリカ現代史の上にエルヴィス・プレスリーを刻んだ構成が見事。いずれ作られるであろう「マイケル」という映画への伏線もある。

22/6/24(金)

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