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映画から自分の心を探る学びを

伊藤 さとり

映画パーソナリティ(評論・心理カウンセラー)

哭悲/THE SADNESS

ゾンビ映画は全世界共通、ホラーファンのハートを掴む。いわゆるジャンルものでありながら、「走るゾンビ」「感情を持つゾンビ」と進化を遂げている。しかも『バイオハザード』シリーズのヒットにより、ウイルスによってゾンビ化するという定説がコロナ禍でさらに恐怖心を煽る結果を招いているのかもしれない。 本作は台湾映画でありながら、監督はカナダ人のロブ・ジャバズ。パジャマ姿の老婆が血に濡れた口を大きく開くビジュアル、イケメン俳優がバイクでゾンビ化した街を滑走しながら愛する恋人を探すロマンスありと、ゾンビ映画と青春恋愛映画が融合されたと思いきや、人間のエゴが剥き出しとなった残虐極まりない行動心理まで描かれているのだからこの監督、タダモノではない。 ストレス社会の現代で、人間が凶暴化するとゾンビになるという発想は意外なのに納得出来、映画が娯楽としてだけでなく、人間への戒めとして製作されたことを表している。これもまた社会派エンタテインメントと言えるだろう。

22/6/28(火)

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