ウド・キアーといえばドイツ生まれの名優で誉れ高いが、ラース・フォン・トリアー監督の映画『ドッグヴィル』やドラマ『キングダム』でのなんとも言えない怪演(?)も忘れがたい。本作は老人ホームで余生を送っていたゲイのヘアメイクアーティストが、旧友のためにもう一度ハサミを手にするというストーリー。1970年代をリスペクトしたウド・キアーのファッション、そしてトリアー作品を思い出す怪演(シャンデリアをかぶってステージに現れるシーンにはぶったまげた)、そしてしみじみとした情愛を眼だけで演じきるシーンなど、なにからなにまで痺れた。傑作。