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水先案内人のおすすめ

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春日 太一

映画史・時代劇研究家

モガディシュ 脱出までの14日間

舞台は1990年、ソマリアの首都・モガディシュ。国連にまだ加入できていない朝鮮半島の南北両国は激しいロビー活動を繰り広げていた。 そんな折に内乱が勃発、各国の大使館は標的となり、北朝鮮の大使館も襲撃を受ける。北朝鮮の大使は韓国大使館へ救助を求めることに。 どこか牧歌的でのんびりした序盤が中盤から一気に転調。大使館への襲撃や暴徒たちと軍隊の市街戦がかなりのスケールとリアル感をもって描かれ、突如として起きた非常事態の危機が切迫感をもって映し出されることに。 治安は崩壊し、生活インフラも喪失。自国政府にも連絡は取れない。いつ命を落としてもおかしくない。そんな状況の描写がとにかく生々しく、この脱出の困難さがスリリングに迫る。 そうしたプロセスを丁寧に描かれているため、対立を超克して互いにひとつのミッションを成し遂げていく様が感動的に盛り上がる。 そして最後の脱出行には、驚くべき迫力たっぷりの大アクションが待ち受ける。 その一方で、韓国映画らしいユーモラスな人間描写が効いていて、ただの英雄的な美談になっていないのが、また良い。中でも韓国大使を演じたキム・ユンソクが絶品。最初は北朝鮮にやられっぱなしで、情けない三枚目の中年男にしか見えなかったのが、だんだんと頼れる存在になっていくのが見事だった。

22/7/5(火)

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