『モガディシュ　脱出までの14日間』『あなたの顔の前に』『ベイビー・ブローカー』などなど、スケールの大小、タイプの違いを超えて韓国映画は殆どが、面白い。外れがない(最近に始まったことではないが)。 やや変化球っぽいアイデアだが、本作『人質 韓国トップスター誘拐事件』も、その例外ではない。『国際市場で逢いましょう』『新しき世界』などで知られる韓国の俳優ファン・ジョンミンが実名で主演した、誘拐・監禁されたトップスターの決死の脱出劇を描いたサスペンス。安直そうに思われがちな企画だが、ファンが実名で主演したことによる虚実皮膜性がたかまり、最後まで飽きさせずに手に汗握らせる佳作。 ファン・ジョンミンといえば、『哭声／コクソン』『工作　黒金星と呼ばれた男』など出演作ごとに全く違う顔を見せ、強烈なインパクトを残してきた俳優として知られている。韓国では、ソン・ガンホなどと並ぶトップスター。その彼が自ら“ファン・ジョンミン”を演じるのだから、ファンでなくとも観たくなろうというもの。共演はドラマ『イカゲーム』のイ・ユミ、ドラマ『梨泰院クラス』のリュ・ギョンス。監督はこれがデビュー作のピル・カムソン。

22/7/13(水)