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映画のうんちく、バックボーンにも着目

植草 信和

フリー編集者(元キネマ旬報編集長)

キングメーカー 大統領を作った男

『タクシー運転手~約束は海を越えて~』『1987、ある闘いの真実』(2017)、『偽りの隣人 ある諜報員の告白』『KCIA 南山の部長たち』(20)など、政治と騒乱をテーマにした韓国映画には傑作が多い。最高権力の座をめざして政治家同士が激突する韓国大統領選の熾烈な戦いを描いた本作『キングメーカー 大統領を作った男』もその例外ではない。 暗殺、自殺、懲役、身内の逮捕・収監などが頻発する韓国大統領の悲劇的な末路。その韓国政界の裏面に光を当てた本作は、金大中(キム・デジュン)と選挙参謀だった厳昌録(オム·チャンノク)の実話を基に「政治の理想と現実」を描いた、まさにポリティカル・サスペンスだ。 光の当たる表の存在である国会議員キム・ウンボム(モデルは金大中)を演じるのは名優ソル・ギョング(『夜叉 -容赦なき工作戦-』Netflix/22)。彼の参謀として陰謀の限りを尽くすソ・チャンデ(モデルは厳昌録)に扮するのは『パラサイト 半地下の家族』(19)のイ・ソンギュン。ふたりの熱演が、韓国あるいは韓国人の光と影をあぶり出す。 独裁政権打倒という理想を追いかけながらも、決定的に混じり合わないふたりの複雑な関係を通して韓国の近現代史を正攻法で演出したのは『名もなき野良犬の輪舞(ロンド)』(2017)のビョン・ソンヒョン監督。俳優といい監督といい、韓国は有能な映画人の宝庫のようで羨ましくもある。 第58回百想芸術大賞最優秀男性演技賞(ソル・ギョング)、監督賞、男性助演賞(チョ・ウジン)受賞作品。

22/8/16(火)

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