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Tak

美術ブロガー

フィン・ユールとデンマークの椅子

2年の歳月をかけたリニューアル工事を終え、東京都美術館が装いも新たにオープンしてから10年が経ちます。それまで慣れ親しんだ前川國男デザインの建物を壊し新しい建物を作るのではなく、前川建築の佇まいを残しながら、改修工事(躯体を残した大規模改修工事)を行ったので建て替わったのに気づかない方も多かったとか。 しかし一歩館内に入ると展示室や導線が刷新された他、鑑賞後にゆったりと休憩できる「佐藤慶太郎記念アートラウンジ」が新たに中央棟1階に作られました。アートラウンジは飲み物片手に展覧会の余韻に浸れるとてもうれしい空間です。 展覧会は立って鑑賞するので思っている以上に足腰が疲れるもの、こうしたスペースはとても有難い存在なのです。 「佐藤慶太郎記念アートラウンジ」が「来館者がくつろげる空間」となるよう、美術館改修を担当した前川國男建設設計事務所と美術館とで協議し、選ばれたのが、フィン・ユールをはじめとするデンマークの家具(椅子やテーブル)でした。皆さんも知らず知らずのうちに腰かけ休憩した椅子は、「家具の彫刻家」と呼ばれるフィン・ユールが手掛けたものだったのです。 リニューアルオープンから10年目の節目の年に開催されているのが「フィン・ユールとデンマークの椅子」です。どうして都美館で椅子の展覧会?と思われたかもしれませんが、洗練された北欧家具をさり気なく使っている東京都美術館だからこその開催なのです。 ちなみにアートラウンジの他にも「美術情報室」にもフィン・ユール、イヴ・コフォード・ラーセン、ナナ・ディッツェルが手掛けた家具が用いられています。 『フィン・ユールとデンマークの椅子』展では、デンマークの家具デザインの歴史と変遷を椅子を中心に辿りつつ、フィン・ユール(1912-1989)の独自性について紹介する力の入った展示となっています。この展覧会最大の推しは、最後の展示室にある椅子にすべて実際に座れる点です。 そう、展覧会鑑賞は足腰が疲れるもの。芸術品として鑑賞した椅子に、実際に展示空間で腰かけ疲れを癒しつつ座り心地を体感できるまたとない機会です。北欧デザインの巨匠、フィン・ユールの椅子を観て、座って記念撮影もできる東京都美術館ならではの素晴らしい企画展です。

22/8/20(土)

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