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高松 啓二
イラストレーター
サバカン SABAKAN
22/8/19(金)
TOHOシネマズ日比谷
小説家久田(草薙剛)は、サバカンを見て子供の頃を思い出す。1986年、長崎の夏。作文が得意で元気な久ちゃんと貧しくてもクールな竹ちゃんは、イルカを見る為に遠出する。子供二人の関係が、元々仲良しでもなく、ふとしたきっかけで友達となり、ちょっとしたことで仲たがいするのがリアル。夏休みの絵日記のようにエピソードが積み重なり、ノスタルジーを超えた普遍性を生んでいる。特に久ちゃんの家族は、どつき漫才のようでやたらと頭を叩くが、微笑ましく見えるのは監督と役者の力量だろう。時代考証もしっかりしており、キン消し、ジョン・プレイヤー・スペシャルのキャップ、マイルドセブンのパッケージなどこだわりが伺える。しかし、本作最大の魅力は、全編漂う夏の匂いである。海岸線、田んぼのあぜ道、森、青い空、美少女海女の濡れたTシャツなど画面から香り立つ!いつまでも「またねー」と言い合う子供同士の絆って良いよなあ。
22/8/13(土)