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平辻 哲也
映画ジャーナリスト
AKAI
22/9/9(金)
新宿ピカデリー
「僕も赤井英和のファンになりました」。本作の映画の感想をこう笑って話すのは、赤井英和本人。確かに、観たら好きにならずにはいられない。 赤井英和のボクサー時代の秘蔵映像と2020年春に行ったインタビューで構成されるドキュメンタリー。編集・監督は、赤井の長男で昨年プロボクサーとしてデビューした赤井英五郎。映像はリベラルアーツ系の米大学と独学で学び、長編作品を手掛けたのは本作が初めて。 天性の才能なのかは分からないが、構成、編集のテンポ、間合いがうまく、とてもデビュー作とは思えない。2020年春の緊急事態宣言下の自粛期間に思い立ったそうで、「父のことを映画にしたいというよりも、単純に面白いと思ったから」と話す。 赤井はデビュー以来12連続KO、日本タイ記録(当時)、通算21戦 19勝 16KO。負けたのは、たった2回。その2回に焦点を当てて、赤井のボクシング人生だけではなく、人間性をも浮かび上がらせ、リアル版『どついたるねん』と言うべき作品になっている。
22/8/28(日)