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水先案内人のおすすめ

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アニメも含め時代を象徴する映画を紹介

堀 晃和

ライター(元産経新聞)、編集者

オルガの翼

ウクライナへのロシアによる軍事侵攻が始まって8月24日で半年が経った。その10日後、9月3日公開の『オルガの翼』は、ウクライナの現在を俯瞰する上でとても参考になる作品だった。背景となるのは2014年に起きた市民運動「ユーロマイダン革命」だ。親ロシアのヤヌコビッチ大統領はロシアに亡命したが、この政権交代が新政権に反発する東部2州の「独立宣言」につながっていく。 物語は前年の首都キーウから始まる。15歳の女子体操選手オルガは欧州選手権入賞を目指し、トレーニングに励む日々を送っていた。ある日の練習後、母親の車で帰宅中に何者かの車に激しくぶつけられ、腕を負傷してしまう。母親は汚職を告発する記事を書いたジャーナリストだった。身の安全のため、オルガは一人で亡き父の出身国スイスに向かう。現地のナショナルチームで練習を再開するが、祖国からは大規模な反政権デモの模様が伝わってきて…。 オルガ役のアナスタシア・ブジャシキナは欧州選手権出場歴もある体操選手。他の出演者も競技経験のある少女たちだ。アナスタシアは演技が初めてとは思えない繊細な仕草で、異国の地から祖国を想う複雑な心情を表現してみせた。何よりも強いまなざしがいい。

22/8/25(木)

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