「まるで小津安二郎監督がアメリカのSF映画を作ったかのような味わい」という米メディアの評価コメントが公式サイトで紹介されている。まさにそのような作品だ。韓国生まれのコゴナダ監督は、小津安二郎を深く敬愛しているのだという。主演のコリン・ファレルはハリウッドの人気俳優だが、なぜかお茶の店の主人という役どころでいつも着物のような服を着ている。アフリカ系の妻、娘はインドネシア系の子役女優、そしてロボット「ヤン」を演じるのは韓国系。民族や人種の多様性を前面に打ち出したかのようなキャスティングだが、それだけでなく人の心を持たないはずのロボットに対しても優しいヒューマニズムの目が注がれている。ラストにはしみじみとした感動が待っている、静謐で美しい作品。

22/10/23(日)