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日本で上映されるアジア映画はおまかせ

紀平 重成

コラムニスト(元毎日新聞記者)

百花

「人間は体ではなく記憶でできている」。原作となった同名小説でそう確信した川村元気監督が一度はバラバラとなった記憶が愛の力で再び交差し溶け合う一瞬を描いた作品です。認知症という現代の課題について考えるいい機会になるかもしれません。 レコード会社に勤める葛西泉(菅田将暉)と、ピアノ教室を開く母・百合子(原田美枝子)は、過去に百合子が起こした事件により、親子には埋めることのできない溝が生まれました。そんなある日、百合子に認知症が発症します。記憶の減少はゆっくり進みますが、泉の妻・香織(長澤まさみ)の名前さえも分からなくなってしまいます。それでも泉は、これまでの親子の時間を取り戻すかのように献身的に母を支え続けます。そんなある日、泉は百合子の部屋で1冊のノートを発見。そこには、泉が決して忘れることのできない事件の真相がつづられていました。真相をさらに知るには母の記憶がまだ残っているこの時をのがすわけにはいきません。 ラストの解釈は人によって当然違ってくるでしょう。ヒントになるのは母が口にした「半分の花火」の意味です。それ自体はちょっと変わっていると思うぐらいでしょう。でも半分の花火と口にしたのは母でした。その思いがけない事実に「記憶」の力と不思議さを感じないわけにはいきませんでした。 機転が利いて準主役ながらも存在感あふれる演技を披露するかおり役の長澤まさみも加わり納得の重厚俳優陣でした。

22/8/28(日)

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