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イヤな映画、主人公の悲劇がお好み
真魚 八重子
映画評論家
人質 韓国トップスター誘拐事件
22/9/9(金)
シネマート新宿
韓国におけるファン・ジョンミンを、日本の俳優でたとえたとしたら誰だろう。おそらく西島秀俊あたりのクラスだろうか。人気はもちろん、演技力やカリスマ性に満ち、彼らの出演作は高い評価を受けて世界規模で公開される。そんな俳優が映画内において、実名で誘拐されてしまうという発想の勝利の作品だ。ファン・ジョンミンならそんな架空の物語にも、うまくはまって非常にサスペンスフルに仕上がっている。ジョンミンが演技力で誘拐グループを出し抜こうとしたり、誘拐犯たちの仲間割れが起こったりといったドラマの筋書きも面白く仕上がっている。特にラストはそれまでの軽快さと違い、意外な後味を残す。この描写ひとつによって、本作は記憶に棘が刺さるような余韻を残すことに成功している。
22/9/1(木)