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佐藤 久理子
パリ在住、文化ジャーナリスト
秘密の森の、その向こう
22/9/23(金)
ヒューマントラストシネマ有楽町
『燃ゆる女の肖像』で知られるセリーヌ・シアマ監督は、脚本家でもあるだけに、ストーリーテリングに唸らされることが多い。本作も、少女たちのシンプルな友情物語かと思ったら、過去、現在、未来を自在に行き来する、空想に富んだ世界だった。ただしここには、SF映画のようなCGIの映像はない。出てくるのは森の中の、木で作られた秘密のテントと、祖母の思い出のつまった静けさに満ちた家。そして母と同じ名前の、自分と似た隣家の女の子。そして隣家の扉を開けるとそこは。 不思議なおとぎ話のような雰囲気に誘われて、映画を観進めるうちに、わくわくするような秘密の発見に立ち会うことになる。童心に満ちた眼差しと神秘性の融合に、ちょっとヴィクトール・エリセの世界を彷彿させられた。
22/9/22(木)