インド伝統音楽の両面太鼓“ムリダンガム”職人の息子ピーターが父が作ったムリダンガムを人間国宝の巨匠が演奏するのを目の当たりにし、自分もその奏者になりたいと思い、その夢に挑む物語を『スラムドッグ＄ミリオネア』のオスカー受賞で世界的音楽家となったA・R・ラフマーンの手になる素晴らしい音楽にのせて描いた『響け！情熱のムリダンガム』は実にわかりやすく、直球勝負の快作だ。音楽をテーマにした作品で評価が高いラージーヴ・メーナンは、カーストによる差別や、伝統音楽とテレビ業界との軋轢、伝統芸能の生き残りと承継などの問題をうまく取り入れ、テンポよくまとめ上げているが2018年の東京国際映画祭でも満席、大喝采を受けたこの映画の日本配給を担うのが荒川区の南インド料理店なんどりというのも話題になっている。それだけ人を惚れ込ませる熱い映画だということを保証し、応援したい。

22/9/22(木)