これはレビューの非常に難しい作品だが、傑作であることは胸を張って断言できる。事故に遭い、記憶を失ってしまった女性主人公。夫が献身的に看病し支えてくれたおかげで、日常生活を取り戻していくが、いっぽうで“未来”が幻覚で見えるようになってしまう。そして夫への疑念も生まれ、殺人事件にも遭遇し……と徐々に彼女の精神が混乱してく様子が描かれる。ところが終盤の驚くべき展開で、すべてが明らかになり、伏線はきれいに回収されていく。この伏線回収の気持ちよさ、そして信じられない展開にもかかわらず主人公や登場人物の心境に破たんがなく、観客は物語に素直に寄り添っていけるというところに本作の脚本の素晴らしさがある。こういう作品作ると最近の韓国映画は本当に巧みだなあとしみじみ。充実した映画鑑賞を楽しみたい人には実にオススメ。